2016年度 大学入試センター試験 総合コメント
2016.01.17
河合塾
1.志願者、受験者数
 今回の大学入試センター試験は、1月16日・17日の両日に、全国693の会場で実施された。参加大学・短大数は昨年より1大学増加し、850校(昨年849校)と過去最多となった。大学入試センター試験志願者数は563,768人(昨年559,132人)で、昨年に比べ4,636人(前年比100.8%)増加した。内訳をみると、現役生志願者数が昨年の455,392人から462,335人と6,943人増加した。一方、既卒生志願者数が昨年の98,728人から96,454人と2,274人減少し、対照的な動向となっている。既卒生の減少は2015年度入試で大学入学率が上昇した影響であろう。新規高校卒業見込者(現高3生)は1,065,287人と前年から約5,300人減少(前年比99.5%)。それにもかかわらず増加したのは、センター試験の現役志願率(センター試験志願者数/高校卒業見込者数)が上昇したことによる。
 センター試験の現役志願率は、2015年度から0.9%上昇して43.4%となった。これにより、過去最高値を更新した。現役志願率はセンター試験導入以降上昇が続いており、2009年度に4割を超えて以降は41.0〜42.0%台で推移してきたが、2016年度は一気に43%半ばまで上昇した。
 本試験の受験者数は、外国語ベースで530,636人(昨年524,211人)となり、志願者に対する受験率は94.1%(昨年93.8%)であった。
 英語のリスニング試験では、一部の受験生がICプレーヤーの不具合を申し出るなどのケースがあり、120会場で253人が再開テストを受験した。その他、天候による交通機関の乱れなどの大きなトラブルはなかった。
 科目間で20点以上の平均点差が生じ、これが試験問題の難易差に基づくものと認められる場合に実施される得点調整は、今回実施される可能性が低いと思われる。


2.変更点
 今年より経過措置がなくなり、すべての科目が新学習指導要領に基づいた出題となった。(ただし、「工業数理基礎」は2016年度に限り、経過措置として旧課程履修者用に出題された。)それ以外は、昨年と比べて大きな変更点はない。


3.出題内容
 文部科学省は、2015年12月22日の「高大接続システム改革会議」において、2020年度より導入される予定の大学入学希望者学力評価テスト(仮称)の数学と国語の一部で問題例を公表した。記述式を含む新たなテストに変わる予定で、思考力や判断力を重視した内容となる見通しであるが、今回の学習指導要領でも重視されている“基本的な知識を活用し思考力を測ろうとする”出題は、今年の試験でも一部の教科・科目でみられた。
 また、新課程導入2年目となる数学、理科では、新傾向の出題がみられた。例えば、数学I・Aでは、n進法、条件付き確率が扱われた。物理では、通常の波長を用いて立式する干渉条件が、薄膜内を往復するのに要する時間で問われた。化学では、単位格子の断面図を選ぶ目新しい問題が出題された。

各教科・科目の特徴は、以下の通りである。
【英語(筆記)】
 第5問では、昨年問題文としてメール文が出題されたが、本試験としては新傾向の物語文に変わった。また、第6問は昨年までの難しい単語やイディオムの意味ではなく、本文中の語句の文脈的意味を問う問題に変わった。総語数は約4,300語程度で昨年から100語以上減った。全体として、実践的なコミュニケーション能力を問うという新課程の方向に沿った出題であった。


【英語(リスニング)】
 設問総数と読み上げ文の総語数に変化はないが、問題冊子の質問・選択肢の総語数は170語程度増え、また出題形式が大きく変わり、第4問Bは長めの英文で3人の討論を聞く形式となった。音声を聞き取る技能だけでなく、思考力・判断力がより求められる出題であった。


【数 学】
 「数学I・A」:必答問題が昨年の3題から2題に変わり、2題とも独立した3つの問題で構成された。全体として基本事項の確認から状況把握と思考力を問う問題まで幅広く出題された。データの分析は昨年の追試験と同様、実データが題材となった。昨年見られなかったテーマは、1次関数、n進法、条件付き確率であった。

 「数学II・B」:大問構成は昨年と同じであった。第1問のグラフの位置関係や、第2問の二つのグラフで囲まれた図形の面積の計算など基本的なものから、第3問の群数列など応用力や思考力を要するものまで幅広く出題された。


【国 語】
 第1問で昨年同様、受験生にとって身近な話題を論じた現代的な評論が出題された。第2問は、昨年は現代の小説であったが、今年は1950年代に発表された小説が出題された。第3問(古文)では、平安時代後期の説話集『今昔物語集』からの取り組みやすい出題であった。また、1997年度本試験の国語Iと同じ出典であった。第4問(漢文)では、語の意味、返り点のつけ方と書き下し文、解釈、内容説明、筆者の考え方の説明など、基礎知識を踏まえた設問が中心であった。


【理 科】
 「物理基礎」:大問3題構成で、設問数、形式ともに昨年と同様であった。エネルギーを中心として、教科書からまんべんなく出題された。昨年小問集合で出題された原子についての知識問題は出題されなかった。

 「物理」:昨年と同様、小問集合、電磁気、波動、力学の4題が必答で、熱と原子の2題から1題を選択する形式であった。受験生が苦手とする定性的な問題が減少し、典型問題が多かった。第3問B薄膜の干渉の問い方が目新しかった。

 「化学基礎」:化学基礎の全範囲から偏りなく出題された。複数の思考過程を要する実験考察問題、計算問題などが一部見られた。昨年出題された化学と人間生活の設問はなかった。

 「化学」:大問は必答が5題、合成高分子化合物と天然有機化合物からの選択が1題であった。化学の全範囲に加えて、化学基礎の問題も含まれていた。単位格子の断面図を選ぶ目新しい問題や選択肢の数が多い問題が出題された。

 「生物基礎」:生物と遺伝子、生物の体内環境の維持、生物の多様性と生態系の3分野から一題ずつ出題された。計算問題が1題、昨年出題されなかった考察問題が2題、残りは知識問題であった。昨年同様に正確な知識を要求する問題が多かった。

 「生物」:教科書の各分野から幅広いテーマで出題されており、大問7題中2題が選択問題であった。総選択肢数、詳細な知識を問う問題、紛らわしい選択肢が減り、考察もしやすかったと思われる。

 「地学基礎」:教科書の各分野からバランスよく出題された。選択肢数が減少し、すべて4択になったことに加えて、正誤の判断に戸惑う選択肢や計算問題が減少した。

 「地学」:大問構成が昨年から変化し、大問6題のうち4題が必答で、第5問と第6問は履修進度を考慮した選択問題であった。知識問題に加え、考察・読図・計算問題がバランスよく出題された。


【地理歴史】
 「世界史B」:従来までの出題傾向に変化はなかった。第二次世界大戦後など近現代史の出題の割合も大きく変わらなかったが、文化史の設問は増加した。新課程で強調されている日本史との関連は、問題文のリード文では触れられているものの、今年は出題されなかった。

 「日本史B」:文化史料や図版などを多く使い、歴史的考察を促そうとしているが、史料に対する批判的見方や歴史解釈の多様性をうたう新課程らしさは、あまり見られなかった。第1問で6年間連続して出されていた会話文形式が消え、大学生の日記からの引用といった新形式となった。

 「地理B」:自然環境と自然災害、工業、都市・村落、ヨーロッパ地誌に加え、新課程の教科書でも取り上げられている二国間の比較地誌も出題された。例年通り図表を使った問題が多く出題され、判断に細かい知識を要する問題も見られた。


【公 民】
 「現代社会」:基本的知識重視の傾向に変化はないが、より正確な知識が問われた。燃料電池、ES細胞、青色発光ダイオードなど時事問題が出題された。条件文付きの図表問題が復活した。

 「倫理」:全般的には例年通り、基本的な思想の理解力や文章読解力を問う問題構成となった。出題傾向に大きな変化はないが、統計資料問題や本文読解問題では出題形式の変更があった。記紀神話に関する細かな知識が必要となる設問もあった。

 「政治・経済」:過去に出題されたことのある知識が繰り返し問われている。国家戦略特区、六次産業化、メディア・スクラムといった比較的新しい事項や、政党政治の変遷に関する細かい知識を要する設問が出題された。

 「倫理、政治・経済」:全設問が「倫理」「政治・経済」単独科目からの流用となった。倫理分野、政治・経済分野ともに、概ね教科書の範囲内の知識で対応できる設問と、論理的判断力や読解力を必要とする設問で構成されていた。


4.平均点について
 5教科7科目(900点満点)総合での平均点は、理系で559点、文系で539点と予想される。

◇受験生諸君へ
 これまでの学習の成果が現れやすい出題内容であったので、目標得点をクリアした受験生も多かったと思われる。一方、日頃とは異なる緊張感の中、思わぬ失点をした受験生もいたのではないだろうか。
 慢心してはならないし、焦る必要もないし、安全志向に走る必要もない。2016年度入試はスタートを切ったばかりなのである。
 得点に一喜一憂せずに、二次・私大入試に気持ちを切り替え、夢に向かって、力強く踏み出してほしい。
 二次・私大入試の直前まで、初志貫徹の強い意志を持って、計画的な学習に徹した受験生にこそ栄冠は輝くのである。
 河合塾は、ガンバル受験生を応援し続ける!!

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